
堀井 ヒロツグ
ミシェル・フーコーが、同性愛が社会に受け入れられるかどうかではなく、どのような関係の形式を発明できるかに焦点を移そうとしたように、僕にとってもセクシュアリティは越境の対象としてある。
愛という言葉が厄介だと思うことがある。それは同質なるものを束ねてきた一方で、同じだと見なせないものを切り捨ててきた歴史を隠蔽しているからだ。神話のように誘惑し、陶酔のうちに規範として機能してきた愛のまなざしにそっくり身を委ねるのではなく、まったく未知の地点で愛に出会いなおしたい。ラベルによる対立を超えた「私たち」を想像する手段として、パフォーマティブな写真行為の実践からクィアをめぐる問題を考察している。
近作では、性愛に絡め取られない孤独の隣り合い方や、家族という語りの圏外に生まれる親密さへと関心を深めながら、愛の語りに回収されないまま他者と共にい続けるまなざしの技法を、あるいはこの制約を遊ぶ方法を探求している。
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壁の向こうを想像する
かつて、自分とは異なるセクシュアリティーを持つ人と、うまく名付けることのできない関係を生きようとしていたことがある。
友人でも恋人でもないそれは、また同時に、友人でも恋人でもあるような何かだった。
僕と彼は、同じ性的指向を共有する者同士のみがひとつのリレーションシップをつくるという思い込みや、あるいは恋愛の成就や結婚がゴールであるというきまりごとの外側で、親密さを育てていくひとつの居場所をつくることができないかと考えるようになった。
性愛を脱ぎ去った身体同士が、動物のようにじっと触れ合うこと。触れることが意味を持ちすぎるこの社会の中で、僕はそのようなもので回復してみたかった。
性別や、国籍や、学歴といった、いつのまにか身体に価値付けされているラベルや、政治が決定する家族観やジェンダーといった、遠くて抗いにくい視線によって、自分の欲望の形式があらかじめ用意されていると、ずっと感じてきた。けれど、結びつかないとされる意味や存在同士にも響き合いの可能性が残されているとしたら、未だに世界の豊かさは僕の視界の外にあるのかもしれない。
分かたれたものと出会い直したい。慣れ親しんだ思考がつくってしまう透明な壁の向こうと遊びたい。「未来の親密さ」についてあなたと話してみたい。
個展
2025「ふたつの庭」東川町国際写真フェスティバル:アーティストインレジデンス
2025「ケアの星座」阪急うめだ本店, 大阪
2024「身体の脱ぎ方」PURPLE, 京都
2019「見えない川」元・淳風小学校, 京都
2015「すべて海へ還っていく、そしてまた降り注ぐ」FOIL Gallery, 京都
2014「Voices」 Art Gallery M84, 東京
主な展覧会
2024「こともの、と」河野愛展, 和歌山県立近代美術館, 和歌山
2023「都美セレクション2023」東京都美術館, 東京
2023「透明な手で触れる」GOOD NATURE STATION, 京都
2022「<I> opportunity」真珠ビル, 和歌山
2021「静坐社展 -ある洋館の解体の記録- 」出町座, 京都
2020「踊り場と耕作」アンテルーム京都9.5Gallery, 京都
2020「境界線を遡行する」VOU Gallery, 京都
2018「ARTIST'S FAIR KYOTO」京都文化博物館, 京都
2017「HAKKA vol.3」ミツバコウサクショ, 東京
2016 東川町国際写真フェスティバル, 北海道
2014「HAKKA vol.2」BankART Studio NYK, 神奈川
2011「HAKKA vol.1」竜宮美術館, 神奈川
2010「Incessantly Creative」Light Editions Gallery, シンガポール
2010「持ち込みナイト記念展」FOIL Gallery, 東京
2009「DOOR 2009」Port Gallery T, 大阪
イベント
2016「Vewing - 写真家とポートフォリオ」塩竈フォトフェスティバル, 宮城
2015「AKAAKAスライドショーin大阪」ハービスホール, 大阪
受賞
2025 T3 NEW TALENT / ファイナリスト(中堅作家部門)
2021 IMA next / ショートリスト(アマンダ・マドックス選 / J・ポール・ゲティ美術館キュレーター)
2019 KYOTO GRAPHIE 京都国際写真祭 KG+セレクトアワード / ファイナリスト
2013 塩竈フォトフェスティバル写真賞 / 特別賞
2013 東川町国際写真フェスティバル ポートフォリオオーディション / グランプリ
収蔵
東川町文化ギャラリー
アウラ現代藝術振興財団
Hirotsugu Horii
Just as Michel Foucault shifted the focus from whether homosexuality could be socially accepted to what forms of relationships could be invented, for me, sexuality exists as a site of transgression.
I sometimes find the word "love" to be fraught. While it binds the homogenous together, it conceals a history of discarding that which cannot be deemed the same. Rather than surrendering myself entirely to the gaze of love—which seduces like a myth and functions as a norm within intoxication—I want to re-encounter love at a completely uncharted point. As a means of imagining a "we" that transcends the dichotomies of labels, I examine queer issues through the practice of performative photographic acts.
In my recent works, while deepening my interest in the way solitudes can exist side-by-side without being entangled in the amorous or the sexual, and in the intimacies born outside the narrative of family, I explore the techniques of a gaze that allows one to remain with others without being co-opted by the discourse of love—or rather, methods to play within these constraints.
CV
Born in Shizuoka, Japan
Lecture, Photography, Kyoto University of Art, Kyoto, Japan
Education
Photography, Art and Architecture School of Waseda University
Solo Exhibitions
2019 "Unseen River", Junpu elementary school, Kyoto, Japan
2015 "Everything returns to the (memory) sea then pours back down", FOIL Gallery, Kyoto, Japan
2014 "Voices", Art Gallery M84, Tokyo, Japan
Group Exhibitions
2017 "HAKKA vol.3", Mitsubakousakusho, Tokyo, Japan
2016 Higashikawa Photo Festival, Japan
2014 "HAKKA vol.2", BankART Studio NYK, Kanagawa, Japan
2011 "HAKKA vol.1", Ryugu Museum, Kanagawa, Japan
2010 "Incessantly Creative", Light Editions Gallery, Tanjon Pagar, Singapore
2010 "Memorial Group Exhibition", FOIL Gallery, Tokyo, Japan
2009 "DOOR 2009", Port Galley T, Osaka, Japan
Art fair
2018 "ARTIST'S FAIR KYOTO", The Museum of Kyoto, Kyoto, Japan
Event
2016 "Vewing - Photographer and Portfolio", Shiogama Photo Festival, Miyagi, Japan
2015 "AKAAKA slide show in Osaka", Herbis Hall, Osaka, Japan
Awards
2021 IMA next / Shortlist(Recommended by Amanda Maddox/ J. Paul Getty Museum)
2019 KYOTO GRAPHIE KG+ SELECT Award / Finalist
2013 Shiogama Photo Festival / Special Award
2013 Higashikawa International Photo Festival Portfolio Audition / Grand Prix
Public Collection
Higashikawa Bunka Gallery
Aura Contemporary Art Foundation